外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か

外国語学習の科学/白井 恭弘|岩波新書 - 岩波書店 「外国語を身につける」という現象を科学的に解明し,効率的な学習方法を探る研究の最前線を紹介する. 白井 恭弘 著https://www.iwanami.co.jp/book/b225938.html 第二言語学習、特に英語学習において、私を含む多くの学習者は、熟達者の語る経験談や直感的な方法論に注目する一方で、第二言語習得研究(SLA)をベースにした科学的なアプローチについては、その存在すら知らないことが多いのではないでしょうか。 私自身も、この書籍を読むまでは第二言語習得研究(SLA)について知りませんでした。研究の必要性は想像できたはずですが、考えが及ばなかったようです。 興味深かったのは、小学校の英語必修化の背景の一つとして臨界期仮説があったことです。臨界期といっても絶対的な線引きではなく、敏感期(Sensitive Period)として捉えられることが主流のようです。音素の認識が敏感期を迎えるのはとても早く、生後6ヶ月〜1年だそうです。発音や文法に関しては13歳ごろまでが敏感期とされています。 インプット仮説も非常に興味深いものでした。赤ちゃんが母語習得する際に急に話し出せるようになることに注目したものです。実際にアウトプットがなくともリハーサルがあれば言語能力は発達するとされています。アウトプットをしなくとも、インプット+アウトプットの必要性があれば言語習得につながるのです。インプット仮説をベースにした教授法も注目に値します。 アウトプット偏重になるのは避けた方が良いでしょう。一方で、聞き流しのような学習法はアウトプットの必要性がないため、効果は薄くなってしまう可能性があります。 第二言語習得研究(SLA)のフィルターを通して見ると、言語学習アプリはどのように評価できるでしょうか。例えば、Speakというアプリでは、インプット=インターアクションモデルを利用していることがわかります。 第二言語習得研究(SLA)の時代を知らなくても、私たちはすでに何らかの形でその恩恵を受けているのかもしれません。 この書籍は17年前に出版されたものですので、現在ではアップデートがあるかもしれないと考え、一部検証を試みましたが、根幹を覆すような新知見はなさそうでした。したがって、ここで紹介されている知識は2025年現在でも十分通用すると思われます。

2月 24, 2025 · 1 分 · 44smkn